国土交通省の地方整備局等における庁費等の予算執行に関す
る会計検査の結果についての報告書(要旨)
平
成
2
1
年
9
月
検査の背景及び実施状況
1 参議院からの検査要請の内容
( 1) 検査の対象
国土交通省等
( 2) 検査の内容
国土交通省の地方整備局等における庁費等の予算執行についての次の各事項
① 契約方法、契約手続などの状況
② 契約内容、契約金額などの状況
③ 契約相手方の状況
④ 一般会計と特別会計における計上区分及び執行の状況
2 道路関係業務等の国会の議論等
第169回国会(平成20年1月から6月)において、国土交通省の道路整備特別会計におけ
る支出の状況や一般乗用旅客自動車(以下「タクシー」という。)の使用状況について、
様々な議論がなされた。また、厚生労働省の一般会計と労働保険特別会計(以下「労働
特会」という。)のタクシー使用金額の支出の状況についても議論がなされた。国土交
通省は、平成20年2月に道路関係業務の執行のあり方改革本部を設置し、支出の総点検等
を行うとともに、改革の方針の検討を行った。
会計検査院は、上記のような状況を踏まえて会計検査を実施した結果、「道路整備特
別会計における支出の状況について」及び「国土交通省における一般乗用旅客自動車の
使用状況について」として、いずれも20年10月31日に会計検査院法第36条の規定により
国土交通大臣に対して意見を表示(以下、これらの意見表示を「20年次意見表示」とい
う。)している。
3 車両管理業務に関する21年次の状況
21年6月に、公正取引委員会は、国土交通省の北海道開発局及び各地方整備局において
発注された車両管理業務の入札参加業者等に対し、「私的独占の禁止及び公正取引の確
保に関する法律」(昭和22年法律第54号)第3条の規定に違反する行為(以下「談合」と
いう。)を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
4 庁費等の概要
の取得、維持又は役務の調達等の目的に充てる経費として区分された目の名称であると
されている。庁費については、財務省が毎年度公表している「一般会計、特別会計歳出
予算目の区分表」において、16項目の経費区分(備品費、消耗品費、被服費等。以下
「費途」という。)が示されており、いずれも予算書では目番号として下2けたに09番の
予算コードが付され「庁費の類」と説明されている。
また、公共事業関係費の予算科目は、「公共事業関係費予算の目及び目の細分表」に
おいて大きく工事費関係と事務費関係に二分されており、事業に必要な事務的な経費は
事務費関係に区分されている。事務費関係の庁費、工事雑費等については、下2けたに0
9番の予算コードが付されており、その説明も「庁費の類」と同様となっている(以下、
「庁費の類」と事務費関係の庁費、工事雑費等を合わせて「09庁費」という。)。
一方、工事費関係の予算科目のうちには、工事等に直接必要とするなどの限定はある
ものの、09庁費と同様の費途に適用されるものもある(以下、工事費関係の予算科目か
ら庁費と同様な費途に支出される経費を「庁費的経費」、09庁費に庁費的経費を合わせ
たものを「庁費等」という。)。庁費的経費は予算書の下2けたに09番の予算コードは付
されておらず、工事費関係の予算科目においても区分されていないためその予算額等を
把握することはできないが、20年次意見表示を行った道路整備特別会計の車両管理業務
やタクシー乗車券に対しては、庁費的経費からの支払も行われていた。
09庁費、庁費的経費及び庁費等についての概念図は図表のとおりとなっている。
図表 09庁費、庁費的経費及び庁費等についての概念図
( 一般会 計、特 別会計 歳出予 算目の 区分表 ) ( 公共事 業関係 費予算 の目及 び目の 細分表 ) 工事費関係
事務費関係
(目)庁費 (目)用地処理事務費 (目)工事雑費
等 庁費の類
(目)庁費 (目)○ ○庁費 (目)○ ○諸費 (目)○ ○調査費 (目)土地(建物)借料
等
(目の細分)工事費 (目の細分)測量及試験費 (目の細分)船舶及機械器具費
等
=09庁費+庁費的経費
09庁費
工事等に直接関連して庁費と 同様な費途に支出される経費
庁費的経費
庁費等
5 検査の着眼点、対象及び方法
会計検査院は、国会等の議論や20年次意見表示を踏まえつつ、検査に当たっては、前
記の検査要請事項のうち③契約相手方の状況については、特に車両管理業務の契約の状
況に留意するとともに、④一般会計と特別会計の計上区分及び執行の状況については、
一般会計から人件費を支出している厚生労働本省職員に対して労働特会からタクシー使
用金額が支出されていたことなどが国会で議論され今回の要請となった経緯を踏まえて、
厚生労働省についても併せて検査することとした。
検査においては、国土交通本省の内部部局のほか、すべての地方支分部局の本局に相
当する8地方整備局、北海道開発局、9地方運輸局及び神戸運輸監理部(以下、地方運輸
局と神戸運輸監理部を合わせて「地方運輸局等」という。)、2地方航空局、4航空交通
管制部のほか、地方整備局及び北海道開発局管内の108事務所等を対象とした。
また、厚生労働省の検査は、厚生労働本省及び47都道府県労働局(以下「労働局」とい
う。)が支出した09庁費(以下「厚労省庁費」という。)並びに職員基本給、職員諸手
当及び超過勤務手当(以下「人件費」という。)を対象とした。
検査の結果
国の契約方式としては、一般競争契約及び指名競争契約(以下、両者を合わせて「競
争契約」という。)並びに随意契約があるが、上記の契約方式とは別に、従来随意契約
によっていた業務について、契約手続の前段階に企画競争を行い、その者と契約する随
意契約(以下「企画随契」という。)が行われている。
そして、国土交通省においても、「随意契約見直し計画」に基づき、一般競争契約等
への移行を進めてきている。
なお、以下の分析においては、企画随契、不落・不調随契(競争に付したが入札者が
いないことなどのため随意契約としたもの)の二つを合わせて「企画随契等」とし、そ
れ以外の随意契約を「企画競争等を経ない随意契約」として取り扱う。ただし、応募者
数の分析においては、不落・不調随契は除外して企画随契のみを取り扱う。また、随意
契約については、原則として、予定価格が少額である場合に認められる契約(以下「少
額随契」という。)等を除いて分析を行うこととする。
1 契約方法、契約手続などの状況
ア 契約方式別の状況
( ア) 検査対象の組織において締結された庁費等に係る支出原因契約(以下「対象契
約」という。)について契約方式別にみると、一般競争契約及び企画随契等の19
年度の件数及び支払金額は、18年度よりも増加し、指名競争契約及び企画競争等
を経ない随意契約は減少している。また、件数割合が最も高い契約方式は、18年
度は企画競争等を経ない随意契約、19年度は一般競争契約となっているが、支払
金額割合が最も高いものは、両年度とも企画競争等を経ない随意契約となってい
る。
( イ) 応札(応募)者数別にみると、18年度から20年度(12月まで)まで、一般競争
契約と企画随契は各年度とも1者応札( 応募) の件数割合が40%以上と高くなってい
る。さらに、一般競争契約においては、1者応札の件数割合が上昇している一方、
5者以上応札の件数割合は低下している。
イ 落札率の状況
( ア) 契約方式別の平均落札率をみると、18年度から20年度(12月まで)のいずれも
一般競争契約及び指名競争契約は85%程度と低く、企画随契等及び企画競争等を
経ない随意契約は95%程度と高くなっている。
( イ) 応札者数別の平均落札率をみると、一般競争契約は1者応札が最も高く、応札者
数の増加に応じて低下する傾向となっている。
( 2) 契約手続の状況
ア 入札参加資格要件の設定
入札参加資格要件の設定状況をみると、契約実績を求めている契約のうち、公的
機関との契約実績を求めている件数割合は、19年度及び20年度(12月まで)とも16
%程度となっている。また、「役務」は件数割合で20%程度の契約において公的機
関との契約実績を求めており、契約種類のうちでは最も件数割合が高くなっている。
イ 契約内容等の明示
一般競争契約の仕様書における業務内容の明示や企画競争の審査における評価内
容等の明示が十分でないなどの事態が見受けられた。
ウ 単価契約における契約単価の設定
単価契約における契約単価の設定をみると、1か月分の総額で行われた入札におい
2 契約内容、契約金額などの状況
( 1) 契約内容の状況
ア 少額随契の一括化
事務用消耗品のトナーカートリッジをみると、18、19両年度とも、少額随契のう
ち年間を通じた総支払金額が160万円を上回っているものは、支払金額割合で80%程
度を占めている。そして、これらについては、既往年度の使用実績等に基づく計画
的な購入を図ることにより、個別に少額随契を行うことなく一括化して、一般競争
契約による購入を検討すべきであったと認められる。なお、国土交通省は、「国土
交通省行政効率化推進計画」において、トナー類については調達事務の集約化等を
行うこととしている。
イ 発注単位の設定
各庁舎で実施している健康診断業務等の発注単位の設定をみると、集約化を検討
すべき事態が見受けられた。
ウ 業務範囲の設定や実施方法
契約した業務範囲の設定が適切でなかったり、業務の実施方法を検討すべきであ
ったりしている事態が見受けられた。また、広報誌については、多くの種類を多数
調達して配布していたが、20年度ではその多くが調達を取りやめるなどしていた。
( 2) 契約金額の状況
ア 経済的な仕様の設定
トナーカートリッジについては、メーカーが製造している新品より安価な純正リ
サイクル品は、必ずしも需要に応じた供給に対応できない面もあるが、その契約に
当たっては、経済性だけでなく環境にも配慮して、供給状況に応じた純正リサイク
ル品の購入を図ることができるよう仕様の記載を検討すべきであったと認められる。
イ 経済的な料金プランの利用
固定電話発携帯電話着の通話料については、固定電話会社の事業者識別番号を付
することにより、固定電話会社が設定した経済的な料金プランの利用を検討すべき
であったと認められる。
ウ 予定価格の算定方法
予定価格の算定に当たって、業者から徴取した見積り(以下「参考見積り」とい
なっていて、その選定方法は、既契約の契約者又は応札者、当該契約の応札が見込
まれる者など限られた範囲から徴取しているものがほぼ100%となっている。また、
予定価格の算定に当たり、予定数量の算出を誤ったり、適用すべき積算基準、単価
が定められているのに使用していなかったりしていた事態が見受けられた。
3 契約相手方の状況
( 1) 契約種類別、契約方式別の契約状況
ア 「役務」について、契約方式別に契約相手方の件数割合をみると、「民間企業」
がおおむね90%以上を占める競争契約と比較すると、随意契約では、「民間企業」
の件数割合は60%前後と低いが、「所管公益法人」は20%前後を占めている。また、
支払金額割合をみると、「所管公益法人」は、一般競争契約では18年度6. 9%から1
9年度22. 9%へ上昇している一方、企画競争等を経ない随意契約では18年度38. 7%か
ら19年度34. 1%へと低下している。
イ 「役務」の契約相手方別に応札(応募)者数及び平均落札率をみると、一般競争
契約の平均応札者数は、「民間企業」が2. 1者から2. 6者であり、そのほかの契約相
手方のおおむね1者程度と比較して多いものの、1者応札の件数割合がいずれの年度
も50%前後を占めている。平均落札率は、いずれの年度も「民間企業」が80%台前
半、「所管公益法人」が90%前後となっている。
企画随契の「所管公益法人」の平均応募者数は1. 5者程度で「民間企業」の2. 5者
程度よりも少なく、1者応募の件数割合はいずれの年度も「所管公益法人」が約70%
で「民間企業」の30%台よりも高い。平均落札率は、両者ともおおむね95%を超え
ている。
企画競争等を経ない随意契約の平均落札率は、いずれの契約相手方も90%台後半
となっている。
( 2) 随意契約とした理由等
随意契約とした理由をみると、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」が大
半となっていて、企画随契を実施したもの以外で、上記理由に該当するとしている契
約は、「複数年度の使用を前提とした物件の賃借」、「場所が限定されている施設・
敷地の賃借、使用料」などが多く、全般的な傾向としては、他に履行可能な者がいる
可能性が高いと思われる契約の件数割合は低下しており、競争契約や企画随契等に移
すべきであったと認められる事態が見受けられた。
( 3) 車両管理業務の契約状況
ア 検査対象の組織別に件数及び支払金額をみると、地方整備局が最も多く、その次
に多い北海道開発局を加えると全体の90%以上を占めている。契約方式別に件数割
合をみると、18年度においては指名競争契約は76. 2%で、地方整備局及び北海道開
発局以外では指名競争契約は行われていない。しかし、国土交通省は、車両管理業
務について20年7月に通知を発して、8月以降締結する契約から一般競争契約とする
こととしていて、通知以降の契約は一般競争契約へ移行している。
イ 契約方式別の応札者数をみると、一般競争契約においては応札者数が5者以上の件
数割合が30%前後と最も高くなっていて、1者応札の件数割合は18年度から徐々に低
下した後、20年度(7月通知後)は該当がなかった。また、指名競争契約においては、
18、19両年度は応札者数が2者の件数割合が最も高くなっているが、20年度は指名業
者数の見直しにより4者応札の件数割合が最も高くなっている。
ウ 契約方式別の平均落札率をみると、一般競争契約は、18年度から20年度までの通
算は81. 9%で指名競争契約の94. 5%よりも12. 6ポイント低下している。一般競争契
約においては、1者又は2者応札の平均落札率が最も高くなっており、また、指名競
争契約においては、2者応札の平均落札率が最も高くなっている。
エ 一般競争契約の入札参加資格要件の設定をみると、契約実績を求めているものの
うち、契約台数に条件を設けている場合は平均応札者数が少なくなっている。また、
入札参加資格要件に契約実績を求めないこととした前記通知以降は、平均応札者数
は増加している。
オ 談合が行われていた地方整備局(港湾空港関係を除く。)及び北海道開発局とそ
れ以外の組織に区分して、対象契約のうち公正取引委員会が談合を認定した期間
(以下「談合認定期間」という。)内の通算の平均応札者数及び平均落札率をみる
と、地方整備局及び北海道開発局は平均応札者数は3. 1者で、それ以外の組織の4. 2
者に比べ1. 1者少なく、平均落札率は95. 9%でそれ以外の組織の78. 4%に比べ17. 5ポ
イント高くなっている。
また、地方整備局及び北海道開発局について、18年度から20年度の契約を談合認
定期間に締結された契約とそれ以降の契約とに区分してみると、談合認定期間以降
談合認定期間内と比較すると、平均応札者数は3. 1者から4. 3者と1. 2者増加し、平均
落札率は95. 9%から81. 2%と14. 7ポイント低下している。
4 一般会計と特別会計における計上区分及び執行の状況
( 1) 庁費等の会計別の計上区分及び執行
19年度の庁費等に係る支払(対象契約に国庫債務負担行為等を加えたもの)に対す
る一般会計及び特別会計の計上割合を09庁費の支出済歳出額と比較してみると、次の
とおりとなっている。
地方整備局及び北海道開発局の特別会計の計上割合は、庁費的経費からの支払が多
くなっていることから、地方整備局75. 4%、北海道開発局80. 1%と、いずれも09庁費
の支出済歳出額(地方整備局26. 2%、北海道開発局4. 5%)の計上割合より高くなって
いる。また、地方整備局及び北海道開発局においては、本局に比べて事務所等の方が
特別会計に占める庁費的経費の計上割合が高くなっており、地方整備局では本局84. 6
%、事務所等92. 5%、また、北海道開発局では本局99. 7%、事務所等は100%となって
いる。
( 2) 文書事務に共通的に使用される経費の計上区分及び執行
ア 18、19両年度で文書事務に共通的に使用される電子複写用紙及びトナーカートリ
ッジに係る経費(以下、これらの経費を「文書事務経費」という。)をみると、地
方整備局及び北海道開発局については、特別会計の計上割合が比較的高くなってい
て、その特別会計の内訳は、公共事業関係費である治水、道路整備、港湾整備各特
別会計からの支払が多くなっている。また、一般会計及び特別会計の計上割合や特
別会計別の計上割合は区々となっていて、合理的な計上区分は見いだせない。
さらに、一般会計には予算書上「一般行政に必要な経費」として事項整理されて
いる予算科目があるものの、文書事務経費にほとんど充てられておらず、ほとんど
の支払が特別会計から行われている事態も見受けられた。
イ 09庁費と庁費的経費の計上区分をみると、文書事務経費に対して特別会計の庁費
的経費からの支払が多くなっているのは、地方整備局及び北海道開発局となってい
る。地方整備局及び北海道開発局では、事務所等の方が庁費的経費の計上割合が高
くなっていて、事務所等はほとんどが特別会計の庁費的経費からの支払となってい
る。また、同種の事業を行っている組織であっても庁費的経費の計上割合が大きく
等に必要なものだけに限定されているのか確認できない事態も見受けられた。
( 3) タクシー使用金額の計上区分及び執行
19年度のタクシー使用金額の計上区分をみると、職員の基本給を支出する会計(以
下「所属会計」という。)とタクシー使用金額を支出した会計との関係については、
大臣官房ほか11局(自動車交通局及び航空局を除く。)の職員の所属会計はすべて一
般会計となっているのに対し、このうち、大臣官房、河川局及び港湾局においては、
一般会計のほかに特別会計からもタクシー使用金額を支出している。
なお、本省においては、20年6月以降タクシー乗車券の使用を取りやめて職員による
立替払としていて、8月以降は、タクシー使用金額はすべて当該使用職員の所属会計か
ら支出している。
( 4) 前渡資金の交付及び金券類の管理
前渡資金の交付をみると、庁中常用の雑費について、手持ち限度額を上回る額の前
渡資金の交付を受けている事態が見受けられた。また、金券類の管理をみると、年度
末における保有相当額が支払金額以上となっているなどの事態が見受けられた。
( 5) 厚生労働省における計上区分及び執行の状況
ア 厚労省庁費及び人件費の計上区分及び執行
厚生労働本省における19年度の厚労省庁費の支出済歳出額計1322億円の会計別の
計上割合は一般会計53. 6%、労働特会46. 3%となっている。これに対して、人件費
の支出済歳出額計266億円の会計別の計上割合は一般会計92. 4%、労働特会7. 5%と
なっている。
また、47労働局における19年度の厚労省庁費の支出済歳出額計436億円の会計別の
計上割合は一般会計5. 7%、労働特会94. 2%となっている。これに対して、人件費の
支出済歳出額計1493億円の会計別の計上割合は一般会計58. 3%、労働特会41. 6%と
なっている。
イ タクシー使用金額の計上区分及び執行
厚生労働本省における19年度の厚労省庁費のうち、所属会計が労働特会である職
員がいる課室及び労働特会の職員はいないが労働特会のタクシー乗車券を使用した
課室において深夜帰宅用として使用されたタクシー乗車券の使用金額等について所
属会計とタクシー使用金額を支出した会計との関係をみると、職員の所属会計と異
れ、使用金額計1億7480万円の32. 9%を占めている。
このような状況となっている理由について、厚生労働本省は、一般会計と労働特
会の業務が混在していて両業務を区分することが実務的に難しいことから、各課室
の業務内容等を勘案し、支出する会計を課室単位ごとに特定するなどしてタクシー
使用金額を支出してきたためとしている。
なお、厚生労働本省は、合理的な根拠もなく職員の所属会計と異なる会計からタ
クシー使用金額を支出しているとの誤解を避けるためとして、20年12月までに、タ
クシー使用金額は、タクシー乗車券を使用する職員の所属会計から支出するよう方
針を変更している。
一方、労働局においては、タクシー乗車券の使用実績はない。
ウ 超過勤務手当の計上区分及び執行
厚生労働本省において、前記のタクシー乗車券を使用している課室に在籍する職
員に対する19年度の超過勤務手当の支出をみると、職員の所属会計と異なる会計か
ら超過勤務手当を支出しているものが多数の課室において見受けられ、支出額計8億
7799万円の6. 7%を占めている。
このような状況となっている理由について、厚生労働本省は、一般会計と労働特
会の業務が混在していて両業務を区分することが実務的に難しいことから、予算の
状況等を勘案し、所属会計と異なる会計から超過勤務手当を支出する場合があった
ためとしている。
なお、厚生労働本省は、タクシー使用金額の支出と同様の理由で、20年9月から職
員への超過勤務手当は、当該職員の所属会計から支出するよう方針を変更している。
また、47労働局において、19年度の超過勤務手当の支出をみると、職員の所属会
計と異なる会計から超過勤務手当を支出しているものが47労働局すべてにおいて見
受けられ、支出額計59億5605万円の16. 9%を占めている。
このような状況となっている理由について、各労働局は、厚生労働本省と同様で
あるとしており、超過勤務手当を支出する会計について、21年4月に厚生労働本省と
同様の取扱いとしている。
エ 共通経費の計上区分及び執行
厚生労働本省及び47労働局の庁舎においては、一般会計と労働特会の業務が行わ
る共通の経費(以下「共通経費」という。)となる。そこで、共通経費の計上区分
についてみたところ、次のとおりとなっている。
厚生労働本省における主な共通経費について、一般会計と労働特会の負担をみる
と、両所属会計の予算定員割合によるとしていたり、過去の会計別の実績によると
していたりなどしている。
一方、47労働局における主な共通経費についてみると、労働特会のみから支出し
ている経費が各労働局で相当数あり、特に、庁舎警備に要する経費については43労
働局、水道料金については37労働局がそれぞれ労働特会のみから支出している状況
となっている。また、3労働局は調査したすべての共通経費について労働特会のみか
ら支出している。
このように、両会計で負担すべき経費について労働特会のみから支出しているな
ど、労働局における計上区分が合理的とは認められない事態が見受けられた。
検査の結果に対する所見
庁費等については、更に次のような点に留意することにより、経済的、効率的な執行
に努める必要がある。
( 1) 今後とも契約方式の見直しに努め、一般競争契約の実施に当たっては、公正性、競
争性等の確保に配慮して、必要以上に応札者の範囲を制限しないように入札参加資格
要件を定めるとともに、競争入札への参加や企画競争への提案書の提出を希望する者
に業務内容等について正確な情報を提供できるよう努める。
( 2) 年間の使用量の多い事務用消耗品の購入に当たっては、個別に少額随契を行うこと
なく、単価契約による一括化を行うことにより、一般競争契約への移行に努める。契
約発注単位の設定では、集約化により経済的かつ効率的な発注となるよう十分配慮す
る。業務の実施に当たっては、業務範囲の設定や業務の実施方法について財政状況等
も考慮して継続の可否の検討や内容の見直し等に努める。また、購入品の仕様を経済
的なものとするとともに、電話利用契約のうち、固定電話発携帯電話着の通話につい
ても経済的な料金プランの利用に努める。積算基準等が整備されておらず参考見積り
を基に予定価格を決定する場合は、市場価格を適切に反映した予定価格とするため、
参考見積りの徴取先は原則として複数とし、特定の相手方に偏らないように配慮する。
ても、所管公益法人との契約に多く見られるような応札(応募)者がこれまでの契約
相手方のみの契約とならないよう、入札参加資格要件の設定、契約内容の明示や発注
単位の設定等、契約内容を検討するなどして、競争性の確保に努める。また、一般競
争契約以外の契約を適用する場合、契約相手方の決定に当たっては、特に客観性の確
保に配慮して合理的なものとなるように努める。
( 4) 談合を行っていたとされた車両管理業務については、国土交通省では、20年8月以降
に入札手続を開始する契約から違約金条項を付すこととしている。談合を行っていた
とされた契約は、20年7月以前の契約であり、早急に談合等により生じた損害額の調査
を行い、損害賠償請求権に係る時効が3年であることなども念頭に置きつつ、早期の損
害回復に努める。さらに、入札談合等関与行為が排除されたことを確保するために必
要な改善措置を速やかに講ずる。
( 5) 庁費等の支払に当たっては、特別会計の設置目的、事業に沿った合理的な計上区分
を行い、工事等との関連性等について第三者の理解が得やすい明確な内容とするよう
努める。前渡資金の交付に当たっては、定められた経費が手持ち限度額の範囲で交付
されるよう資金管理を徹底するとともに、金券類については使用状況等を十分勘案し
た上で適切な購入を行い、多額の金額に相当する金券類を常時保有することのないよ
う適切な管理を行う。
また、厚生労働省については、一般会計と労働特会間における労働局の共通経費の
計上区分を合理的なものとなるよう、両会計の適切な負担について検討する必要があ
る。
以上のとおり報告する。
会計検査院は、今後とも、庁費等の予算執行において、契約の公正性、競争性及び透明
性の確保に向けた取組が着実に行われ、庁費等の支出が適正なものとなっているかなどに